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↑口癖は「今日は大丈夫、絶対吐かない。」


by 0214062
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一部で大反響!

つまりですね、新連載の次の週にもう大反響!というのはどうなんですか。引き続き私たちはデータ開示を、ひとつひとつ、しっかりと、今まで通り、改革を、すすめ続きだ!

終章「いのり」

 『ビーッ、ビーッ、ビィィィ!!!しすてむ、最終段階ニ、ハイリマス。』
「さあ、いよいよフィナーレだ。ブッダ―マン、人類の希望であり、僕の最愛の友である君ですらそれは果たされなかったようだ。それの存在を確信できれば、僕はもっと違った答えを出せたかもしれない、いやよそう、これが真実なのだから、、、。」
バビロン太郎は沈黙したまま動かぬ仏雄に背を向けると先ほどまで座っていた椅子の前まで来て、おもむろに素手でその年代物の椅子を壊し始めた。老朽化したとはいえ未だ充分に彼の体重を支えうる強度を持った木造の椅子を、バビロン太郎は拳に木片が突き刺さるのも構わず殴り続けた。やがて椅子は地面に叩き付けられ、椅子の破片が仏雄の前に飛んできた。仏雄は、その木片によって、そう、全てを悟った。
「もういいよ~ちゃん、、、。」
バビロン太郎は、“その言葉”を聞いた気がして振り返った。そこには木片を抱えて涙を流す仏雄の姿があった。
「もういいよ。人が争う事の無い世界に焦がれて、お前はずっと科学者として懸命に働いて来た。そして繰り返される醜い明日に、相手を赦す事の出来ない人々に絶望してしまったんだ。幼い頃におれとお前と師匠で作ったこの椅子が、お前をこの世界に繋ぎ止める最後の存在だったなんて。世界の破壊者という、もっとも重い罪を背負った者に対する“赦し”はあるのか、それがお前の人類への、おれへの最後の問いだったんだな。」
仏雄はバビロン太郎の血だらけに腫れ上がった両手を包んで、続けた。
「おれはお前を赦す、ブッダーマンとしてではなくて、人間としておれは、太郎ちゃんを、赦すよ。」
『ピッ、《きーわーど》ガ受理サレマシタ、超高圧“業”凝縮装置《インダス》ノ活動ヲ、停止イタシマス。尚、想定値ヲ大キク上回ル“業”凝縮度ノ進行ニヨリ、機械城二対シテ空間反転ノ限定的使用ガ適用サレマス。』
「地獄の扉もろとも死出の旅って訳か、すまねえ、菩薩子ちゃん、君の観音様は拝めそうにねえや、、、。」 

エピローグ「それぞれの明日」
 
機械城消滅から半年、荒廃した東京もようやく復興の兆しが見えて来ていた。仏雄の同僚であり、恋のライバルであった韋駄天夜叉次郎(いだてんやしゃじろう)もブラジルに渡り、おいしいコーヒー豆作りにその生涯をかけた。ニョライ船長も、師匠の後を継いで、会社経営にその手腕を発揮しながらも、相変わらず輸血しながら献血する悪癖は直らなかった。そして法蔵院菩薩子は事件後、消えた剛玉仏雄をずっと探していたが、何の手がかりすら見つからなかった。その内にあけぼの商社の営業も再開し、彼女は忙しさの中で全てが曖昧になっていく感覚を受け入れられずに鬱屈した日々を送っていた。
そんなある日、
「キャ、だ、誰わたしのお尻を触ったのは!」
会社のコピー機の前でボーっと物思いにふけっていた菩薩子は、なにやら懐かしいタッチを受けて、小さく悲鳴を上げて後ろを振り返った。
「や、あいかわらずいいお尻だね。」
「仏雄さん!生きていたのね、私信じてた!」
「おっと、会社のみんなが見てるじゃないか。」
ひゅーひゅーっ、と冷やかす周りなど気にせずに、菩薩子は、仏雄に抱きついたまま続けた。
「構うもんですかあんなボンクラどもなんて!でも一体どうやってあの機械城から脱出できたの?」
「それはね、運が良かったからさ!」
「もう、剛玉課長ったら!」
「おっ、あれは新人の子だね、おい君、何か分からないところはないかい?」
「キャ、や、やめてください、課長!」
「おっとめんごめんご、偶然肘が当たっちゃったみたいだな、あっはっは!」
セクハラを心から楽しんでいる仏雄を見て、菩薩子は本当に平和が戻ったのだと確信した。

完(直人)
by 0214062 | 2005-09-29 22:10